日本中医学会

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ニュース 2011年,2012年

[訃報]神戸中医研の森雄材先生が逝去されました(2012.1.20)
日本の中医学導入の先駆者であり,中医学普及のために不滅の業績を残された神戸中医学研究会の森雄材先生が2011年12月15日,病により逝去されました。享年70歳。謹んでお悔やみ申し上げます。
本『学会雑誌』第5号に安井廣迪先生が追悼の詞をご執筆くださいました。

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森雄材(もり・ゆうざい)先生のプロフィール:
1941年 生まれ
1966年 神戸医科大学卒業
1973年 神戸大学大学院第二生理学教室修了・卒業
1977年 伊藤良先生らとともに神戸中医学研究会を創設
1985年 神戸市中央区にて森医院を開院
業績:
【神戸中医学研究会の出版物】
『中医学基礎』(上海中医学院編)(訳)・燎原書店・1977年
『漢薬の臨床応用』(中山医学院編)(訳編)・医歯薬出版・1979年
『中医学入門』(編著)・医歯薬出版・1981年
『中医処方解説』(山本巌・伊藤良監)(編著)・医歯薬出版・1982年
『中医臨床講座(1)』燎原書店・1982年
『中医臨床講座(2)』燎原書店・1983年
『中医臨床講座(3)』燎原書店・1986年
『症状による中医診断と治療(上・下)』燎原書店・1987年
『中医臨床のための常用漢薬ハンドブック』(編著)・医歯薬出版・1987年
『中医臨床備要』(秦伯未ほか著)(訳編)・医歯薬出版・1989年
『金匱要略浅述』(譚目強編著)(訳編)・医歯薬出版・1989年
『中医臨床のための舌診と脈診』(編著)・医歯薬出版・1989年
『中医臨床のための病機と治法』(陳潮祖著)(訳編)・医歯薬出版・1991年
『中医臨床のための中薬学』(編著)・医歯薬出版・1992年
『中医臨床のための方剤学』(編著)・医歯薬出版・1992年
『中医臨床のための温病学』(編著)・医歯薬出版・1993年
『常用中医処方集』燎原書店・1993年
『基礎中医学』燎原書店・1995年
『中医臨床のための温病条弁解説』(編著)・医歯薬出版・1993年
『医学衷中参西録を読む』(訳編)・医歯薬出版・2001年
【個人の出版物】
『図説漢方処方の構成と適用(第2版)』(編著)・医歯薬出版・1998年
『漢方・中医学臨床マニュアル』(編著)・医歯薬出版・2004年
関連記事:
[東洋学術出版社ホームページに掲載された訃報]
http://www.chuui.co.jp/other/002178.php
[東洋学術出版社ホームページに掲載された神戸中医研の先生方による追悼文]
http://www.chuui.co.jp/chuui_plus/002176.php

当学会の2011年学術総会のリポート記事が各紙誌に掲載されました(2012.1.16)
既報の『中医臨床』リポートのほかに,『医道の日本』2011年10月号と『漢方医薬新聞』507号(2011年12月発行)に本学会2011年度学術総会のリポート記事が掲載されました。

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北京中医薬大学で先端科学に関するセミナーを開催しました(2011.11.4)

2011年10月17日,日本中医学会の酒谷理事長は北京中医薬大学付属東直門病院の趙吉平教授のお招きにより、光計測法によるストレス診断に関するセミナーを開催しました。趙教授は本年度日本中医学会学術集会で鍼灸に関する素晴らしい講演をされ、今回のセミナーが実現しました。セミナーの後、日本中医学会と東直門病院は共同で、鍼灸のストレス疾患に対する治療効果に関する日中国際共同研究を目指して準備を進めることで同意しました。

北京中医薬大学で先端科学に関するセミナーを開催
セミナー後の記念写真
(左から6人目酒谷理事長、その右隣趙吉平教授)

英国における中医法制化12年の歩み(2011.10.7)
中国が提起しているISO問題については,2つの見方があります。1つは,中国一国の経済的利権を確保するための利己主義的な手段というとらえ方です。もう1つは,世界的視野から,西洋医学と並ぶもう1つの世界主流医学としての伝統医学を,世界各国に普及し合法化させるための手段というとらえ方です。ここに紹介されている「英国における中医法制化12年の歩み」を読めば,中国人中医師および英国人たちが,英国においていかに多くの障壁を越えながら,英国の土壌に中医学を根付かせ,普及してきたか,かれらの悪戦苦闘の歴史をつぶさに見ることができます。いまそれぞれの国々でこのような活動が繰り広げられています。ISO問題は,いわば,そうした世界各国での伝統医学の国際化・合法化のための活動の一つの集約点と見ることもできます。
東洋学術出版社HPで全6回にわたって全文が翻訳掲載されています。 http://www.chuui.co.jp/cnews/002140.php#wrapper(東洋学術出版社HPより転載)

第1回日本中医学会学術総会が盛大に開催されました
9月3,4日の両日,東京船堀で,第1回日本中医学会の学術総会が無事開催されました。昨年8月の日本中医学会設立シンポジウムに継ぐ,本学会の最初の学術総会です。台風12号が上陸するという不運もありましたが,全国から大勢の方々が参加されて大いに盛り上がりました。内容は想像以上にレベルの高い講演と発表が続き,参加者たちはいちように深い感銘を受けていました。
今回は,中国,韓国,台湾からもたくさんの代表が参加され,それぞれ充実した講演を聴かせていただきました。過去1年間,本学会は短い期間にもかかわらず,頻繁に海外との学術交流を続けてきました。そのおかげで,これらの地域の人々との間に親密な関係が育ち,本学術総会においても大勢の方々が参加してくださって,国際色豊かな総会を迎えることができました。
講演では,韓国の金英信先生が韓国における伝統医学の現状を報告し,台湾の陳志芳先生が台湾の中医学の転変の歴史と現状を詳しく紹介されました。中国の趙吉平女史は,弁証論治をめぐる中国針灸における最近の論調の変化とそれに応じた新しい展開について詳細な講演をされました。これは中医針灸を追求している日本の鍼灸師にとって,たいへん有意義かつ今後の活動に大きな示唆を与える重要な内容だったと思います。同女史の講演原稿はよく読んで,学会としても議論をしてゆくとよいのではないでしょうか。
平馬直樹会長の会頭講演「中医学の継承」は圧巻の内容でした。我々が受け継ぐ中医学とはどのような医学なのか,素問,傷寒論など中医学の古典ルーツをたどり,徐霊胎の影響を受けて始まった日本古方派医学の成り立ちから尾台榕堂の症例,そして平馬先生が北京留学のなかで老中医たちから学んだ中医学の遺産,このバトンを日本がいかに引き継ぎ,世界に広げてゆくのか,本学会の使命にまで言及した心に沁みる深い内容です。全学会員が読むべき基本文献に指定してよい講演だと思いました。
シンポジウムは4テーマあり、本学術総会の核となるものです。①「心の疾患と中医学」②「中医学で難病に挑む」③「中医学の科学的エビデンスを得るために:非侵襲的光計測の役割」④「生薬の資源保存と安全性確保」とたいへん盛りだくさんでした。それぞれ非常に魅力的な内容です。
シンポジウム②では,4人の演者が難病症例を中医学でみごとに治療した経験が紹介されました。中医学の治療能力の高さに驚くとともに,中医学への信頼感をより深めさせてくれる感動的なシンポジウムでした。
シンポジウム③「中医学の科学的エビデンスを得るために」は,酒谷理事長の企画で,光計測によって非侵襲的に計測できる最先端の計測方法が紹介されました。第1題は,筋硬度を定量化する計器によってマッサージ前後の筋肉の緊張度を計測する方法です。第2題は,光脳機能イメージングによってアレルギー治療薬の薬理効果を近赤外線分光法によって計測するものです。第3題は,赤外線計測によって人間の心理状態を計測する方法です。これまで計測の方法がないとされていた分野においても,この光計測によって計測が可能になるという驚くべき方法が紹介されました。このような最先端の科学者たちが毎回当学会に参加して,最新の業績を紹介してくださっていることは,臨床家にとって誠にありがたいことです。経穴・経絡・配穴・手技の違いによる効果の違い,生薬・処方の効能効果,中医病態の分析,証と配薬の関係,病因と病機,治法の意味,中医治療の効果判定など弁証論治に関わる様々な事柄を検証し解明されるなら,これまで概念だけで進めてきた弁証論治の実践に裏付けを得ることになります。もちろんその逆もありうることですが,物事が明確になっていくことは素晴らしいことです。科学者たちと臨床家が同じテーブルについて意見交換を行ってゆけば,きっと素晴らしい展望が拓けてくるものと思います。
④は,栃本天海堂と株式会社ツムラさんの生薬資源の保存と安全確保に努力されている専門家の方が,生薬資源をめぐる現状と問題点を詳細に紹介してくださり,問題の深刻さを十分に認識させてくださいました。
鍼灸セミナー「中医鍼灸のさまざまな手技」では,日本の鍼灸界が数十年かけて受容してきた「三通法」「醒脳開竅法」「李家家伝鍼灸」という代表的な鍼法の特徴をわかりやすく概説したうえで,それぞれの手技を実際に披露されました。若い人々にとっては大いに刺激を受ける有意義なセミナーでした。
それぞれの発表は非常にレベルが高く,感動的な内容です。当学会の最初の学術総会がこのように素晴らしい内容でスタートを切れたことに,誇りを覚えるとともに,これからの学会の成長に明るい確信を得ることができました。
昨年の設立シンポジウムには350名の方々が参加されました。今年はそれより多くの参加者があるものと予想して,700名の会場を確保しましたが,今年の結果は,東北大震災の影響や台風12号が上陸するという悪条件と,事務局の不慣れが重なり,十分な広報活動ができず,告知が行き届きませんでした。参加者も昨年を若干下回ってしまいました。来年は,今年の反省のうえにたって,しっかりと準備をし,さらに大きな成功を勝ち取りたいと考えています。皆様のご協力をお願いいたします。
来年は,2012年9月1日(土),2日(日)に同じ会場「タワーホール船堀」で開催されます。会頭は東北大学の関隆志先生です。ぜひ大勢の方々にご参加いただきたいと存じます。

日本中医学会顧問・広報担当 山本勝司
(2011年9月12日)


世界中連の李振吉秘書長がISO問題に関する重要論文を発表
「中医の国際標準化推進の三大要素—公益性・競争・共通性の追求」
2011年4月20日、「世界中連」秘書長李振吉氏がISO問題に関する重要論文を『中国中医薬報』に発表しました。李振吉氏は、現在の中国の中医国際化・標準化の実質的なリーダーです。
同論文は、ISOの性格と任務がポスト工業時代において、それ以前の工業品に対する独占的な利潤確保の手段から、健康・教育・娯楽など生活の質を向上させるための開かれた公益的性格へと変化することを述べて、これまでのISOの概念が大きく変ることを強調しています。また「中国は経済的な効果や利益を追求してはおらず、まして標準そのものは、直接経済的効果や利益を生むものではない」と宣言、中国が利権確保のためにISOを利己的に利用しているのではないことを強調しました。「伝統医学にISOはなじまない」とする日本からの疑問に対しては、「標準こそが人々と社会に幸福をもたらす」のであり、これこそ中国が国際社会に対して果たすべき責任・義務であると述べています。最後に、日本に対しては同じ土俵のうえで共同して貢献するのか、それとも別の道を歩むのかと、厳しい選択を迫っています。
http://www.chuui.co.jp/cnews/002113.php(東洋学術出版社HPより転載)

李振吉氏のISO関連記事
日本ではISO問題が大きな問題として活発に議論がされていますが、当の中国が何を考え、どうしようとしているのか、ほとんどわからないまま一方的に論じられている嫌いがあります。中国のISO問題のリーダーである「世界中連」秘書長の李振吉氏の論点は、中国の考え方を知るための重要な手がかりになります。東洋学術出版社のホームページで関連記事がいくつか翻訳紹介されているので、紹介します。
「国際標準が中医薬の国際発展の鍵を握る」
[前編]http://www.chuui.co.jp/cnews/002083.php
[後編]http://www.chuui.co.jp/cnews/002098.php
「国際標準システムの構築—中医薬、世界進出への道」
http://www.chuui.co.jp/cnews/002027.php

ホームページを更新しました(2011.8.11)
このたび,日本中医学会のホームページの機能を強化するために,ホームページを全面的に改訂いたしました。会員のみなさまの積極的なご協力を得て,多彩な情報を提供してまいりたいと思います。ぜひ活発なご投稿をお願いいたします。

第1回日本中医学会(2011年度)学術総会の詳細が発表されました

日本中医学会雑誌[第2号][第3号]が発行されました

中国国家中医薬管理局の王国強局長が東京で日本中医学会代表と会談

8月1日,海外からの帰路に東京に立ち寄った王国強局長が,日本中医学会代表との会談を希望して,はじめての会談が実現した。同管理局国際司司長の王笑頻女史も同席した。日本側は平馬直樹会長と瀬尾港二事務局長,戴昭宇理事,山本勝司顧問が参加した。うちとけた雰囲気のなかで実り多い会談が2時間にわたって行われ,深夜にまで及んだ。
王局長は,中国における2007年以来の中医振興活動のポイントを紹介した。それらは,われわれにとって,たいへん新鮮で意義深い内容を含んでいた。 とくに印象深かったのは,伝統医学の理論・理念・技術・方法にもとづきながら,臨床効果を向上させることに最大の力点が置かれている点だ。伝統性とその臨床効果が第一のキーワードに位置づけられていた。具体的には,西洋医学では対応できない16の難治性疾患の臨床基地を設けて,全国から実力ある専門家を集めて経験を集約しているという。さらに同氏は,難治性疾患だけでなく,「防病・未病」「老人病・慢性病」の治療にも力を入れ,現代医学の力が及ばない分野に注力している状況を紹介した。また,「上病を下に取る」「左の病を右で治す」「内の病を表から治す」「全体と局所の統合観点」といった,西洋医学にはない中医独特の理念・発想を掘り下げて研究し,これを未来の現代医学の構築に寄与できるものにしたいと抱負を語った。中医をてこ入れするために,政府はこの数年間に過去数十年分に相当する高額の資金を投入してきたという。
教育面では,「学院教育」(大学教育)と「師承教育」(伝統的な徒弟教育)を結びつけることの重要性を強調した。これは注目すべき1つの変化と思われる。これまで「師承教育」の重要性については,長年らい繰り返し強調されてきたが,それは「学院教育」とは切り離された形で単独で行われてきた印象がある。そのため,「学院教育」そのものは,一向に変わりばえのしない状況が続いてきた。それに対して,今回の王局長のいう方針は,両者を結合することを謳っており,「師承教育」を加味することによって,直接「学院教育」にメスを入れ,教育全体の改革に着手する意図を見て取ることができる。今後の展開が楽しみだ。
鍼灸分野についても,中医の伝統的な理論・方法論に基づいた構築が重要であって,単なる「針刺し鍼灸」であってはならない,と語った。
日本側の質問に答え,いま話題の「中医の標準化」について,王局長は,中国はすでに世界的に広がっている中医学をさらに高度に発展させることを目指しているのであって,けっして「中国のための標準」を押しつけるのではない。あくまでも「中医学のための標準」を創出しようとしているのだ,と強調した。また,標準化は単なる寄せ集めの医学でなく,理論・理念・方法・技術・機器など総合的な内容が体系的に構成されていなければならず,生やさしいことではない,大きな飛躍の必要な作業なのだ,と語った。日本漢方,韓医学,日本鍼灸,韓国鍼灸も,独自の立場で標準化を図るのは結構なことであり,しっかりした体系のもとで標準化が進められるなら,中国はこれを支持する,と語った。
王局長は,日本中医学会が中医学の伝統的精髄を尊重し,これにもとづいて高い臨床効果を発揮する方向を目指してほしい,日本と中国はともにこの点で強い絆を保ってゆきたいと希望を述べた。平馬直樹会長も,王局長とまったく同意見であり,ともに伝統性を重んじながら,提携し,学び会い,交流を持続してゆきたいと述べた。

日本中医学会顧問・東洋学術出版社会長 山本 勝司
(2011年8月2日)


震災地診療リポート

東北大地震被災地に居住されている本学会会員の方々からの報告が届いておりますのでご覧下さい。

被災地からの報告[PDF:128KB]


国際(中日韓)経方学術会議リポート

日本の「皇漢医学」の影響を受けた中国経方学派たちのフォーラム。『傷寒論』を『内経』的に病因病機学説で解釈する中国主流派の学院派経方にたいして,『傷寒論』は『神農本草経』系列の『湯液経法』を母体とする医学であり,『内経』とは異質の体系だとする人々の集まりです。方証相対派の台頭により,『傷寒論』を巡って活発な学術論争が展開されそうです。

東洋学術出版社のWebサイトでもレポートされています。


台湾の国際中医薬学術フォーラムに参加しました

2011年3月12日・13日,「国際中医薬学術フォーラム」が台北で開催されました。主催は,台湾中医師公会と行政院。日本からは、酒谷薫理事長、平馬直樹会長をはじめ日本中医学会のメンバー9人が参加しました。酒谷理事長が日本中医学会を代表して挨拶をし,平馬会長が「日本における中医学の現状」と題する講演を行いました。昨年に台北市中医師公会,中華中医学会との間で学術交流の覚書調印を行いましたが,それに続いて,今回,中華民国中医師公会全国連合会との間で調印が行われました。

平馬会長講演原稿[PDF:112KB]

東洋学術出版社のWebサイトでもレポートされています。

国際中医薬学術フォーラム

交流議定書の交換


[第1回]日本中医学会西日本支部会が開催されました

2011年2月11日に大阪市北区の堂島ホテルで,第1回日本中医学会西日本支部会が開催されました。東京からは、酒谷理事長、平馬会長、山本顧問、瀬尾事務局長が参加し、関西方面からは5名の理事、評議員の先生方が参加して,学会運営および学術大会について活発な意見交換が行われました。

第1回日本中医学会西日本支部会が開催

意見交換